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心にとどめておきたい一文をchocott(ちょこっと)メモします。

2008-03-21アウトサイダー・アートの世界

アウトサイダー・アートの世界―東と西のアール・ブリュット

アウトサイダー・アートの世界―東と西のアール・ブリュット

つまり、人はなんらかの障害、欠損、不足を持つことで、他の機能を開発させる能力、「創造力」を持つことのできる生き物だということだ。知的障害を持つ彼らの大半は言語表現が苦手化不可能であり、それに代わる手段として、自分の内的世界、内的衝動をあらわす方法を獲得した。それが絵を描くこと、モノを作ること、すなわちアート的表現行動なのだ。

不足感が強ければ強いほど大きく深く、時には止めどないほどのエネルギーなって内蔵されていく何か。それが人の表現衝動の源にあるのではないか。

以前、精神や知的な障害のある人々と数多く接している、医学博士、山中康裕は私とのトークショーの中で、とてもぴったりくるイメージを語ってくれたことがある。「僕のイメージで『表現』について考えていることがあります。知的障害者作家とどこが違うのかというと、意識して自分のイメージと接触することー僕の言葉でいえば、心の中の落差ー、その落差を大変な思いをして下りていき、自分の源泉の水を汲んでくる、それが作家の作品だと思います。ところが知的障害者たちは、すでにその水辺にいる人なのです。いさせられている人たちといったほうが正しいかもしれない」と。

ひとつだけ言えるのは、アウトサイダー・アーティストとは、自分だけのために、何かを作る人のことだ。

アウトサイダーの作品は、通常の意味での「表現」とは言えない。それは彼らにとっては切実なまでに「世界」そのものであり、同時に「自己」そのものである。精神分析的には、表現がことごとく「症状」化してしまう、とも言える。表現が「症状」にしかなりえず、その意味で表現に実存が先行してしまう人々。別の言い方をすれば「表現者を演ずる訓練を経ていない表現者」、それがアウトサイダーである。

2008-03-0819歳 一家四人惨殺犯の告白

19歳 一家四人惨殺犯の告白 (角川文庫)

19歳 一家四人惨殺犯の告白 (角川文庫)

「あんな殺人犯は見たことがない。三度のメシを腹いっぱい食い、夜は大いびきをかいて熟睡している。人間じゃありませんよ。」

見ず知らずの余人の命を奪っておきながら、反省の色も見せず、獄中から新たな自分の人生を思い描くほど、無神経で冷酷な19歳。

感想 http://d.hatena.ne.jp/chocolatmama/20080308

2008-02-28殺人現場を歩く2

殺人現場を歩く2 undercurrent

殺人現場を歩く2 undercurrent

現代社会はもはや「歪み」の原因となっている「病巣」を自己認識できなくなっているのかもしれない。殺人現場の風景は、毒が回ってもがき苦しんだ果ての「自傷行為」の後のようにも見えるのだ。その傷は深く、自然治癒の能力は失われており、「痛々しさ」の感覚がモミュメントのように刻み込まれていく。

私たちの世代が娯楽として受け止めたサブカルチャーの多くは、理想的な正義や人間性のモデルに懐疑の目を向け、その疑問形となりうる絶対悪の提示に腐心してきている。

不安定な価値観のなかで、「挫折」だけが現実のものとして突出するとき、「悪意」に対する抑制が効かなくなってしまう。宅間の犯行は理不尽だが、「被害者意識」があったのもまた事実のはずだ。万人が納得する「正義の物語」が成立しなくなった現在、唯一リアリティを持てるのが、個々人の「被害者意識の物語」ではないだろうか。

確かに、殺人にまで至るのは、個人や社会的要因の総合的な流れがあるだろうが、本質的には、加害者本人の「性格」によるところが大きい。その性格とは、やはり「搾取」を恥じない心だと思うのだ。

つまり、「目立ちたい」「注目を浴びたい」という強い欲求が、「悪意」を媒介にして世の中に蔓延しているのだ。理性で考えれば、「目立ちたい」という欲求の前には、「~によって」という条件が付加されるはずだが、現実的な不満の爆発の前に、肥大化した欲求のみが外に向かってぶつけられるのである。

他者の評価にプライドが傷つくというデメリットを回避し、「目立つ」ことの刹那的な欲求に対応するのに、匿名掲示板は都合が良い。しかし、基本的に自分の本体を隠した代償行為であるから、同時にフラストレーションを抱え込むことになる。このネット社会につきまとう一種の曖昧さともどかしさの構図が、個人的には、動機不明の犯罪と共通しているようにも感じられるのだ。

感想 http://d.hatena.ne.jp/chocolatmama/20080228

2008-02-25愛犬家連続殺人

愛犬家連続殺人 (角川文庫)

愛犬家連続殺人 (角川文庫)

もう俺が解説を加えるまでもないだろう。関根元は、ただの殺し屋じゃない。人間でさえない。奴が地獄に落ちたら、地獄だって扱いに困るだろう。

「それに、我々は誰しも、ちょっとは悪人好きなんです。刑事事件の裁判をしていると良くわかるんですが、善人よりも悪党のほうが常識にとらわれていない分、発想が豊富だし話も面白いから、傍聴人にも人気があるんです。恐らく関根元は周囲の者に自分を小悪党であると信じ込ませ、大悪党であることを巧妙に隠していたんです」

おい、もういい加減にしとけよ。お前は自分のやったことが本当に分かっているのか。お前は殺しの片棒を担いだんだぞ。それも一件や二件じゃない。四件も死体遺棄をやって、執行猶予なんかつきっこねえんだよ。不起訴だと。笑わせるな。死体を運ぶのを手伝ったけれど、関根に脅されて仕方なくやりました。お前はそう言うが、それで世間は納得するとでも思っているのか。お前は何かっていうと自分の気持ちばかり言う。ふた言目には、俺、俺、俺、そればっかりじゃねえか。お前の気持ちは良く分かった。じゃあ、関根にお袋を殺された滝口の気持ちはどうなるんだよ。あいつの気持ちはどうでもいいのか。滝口は関根に脅されて、お袋から電話があったとまでしゃべらされているんだよ。お袋がどんな目に遭ったか知った時、滝口がどんな思いをしたか分かるか。遠藤だって人の子だぞ。遠藤の弟は、遠藤の前妻の葬式に出るまで兄貴がヤクザだってこと知らなかったんだ。ヤクザかもしれねえが、弟にとってはいい兄貴だったんだよ。ヤクザだからって殺されていいのか。息子をバラバラにされて川に流された和久井の親の気持ちはどうなるんだよ。死体を運んでおきながら名前も知らなかったくらいだから、どうでもいいんだろう。金を取られた上に亭主を殺された川崎の女房は、子供を抱えて、いまどんな気持ちでいると思っているんだ。殺されていい奴なんか、一人もいないんだよ。人殺しの手伝いをしたら刑務所に行くんだよ。当たり前だろう。そんなことも分からないような奴なら、もういい。俺、俺、俺って死ぬまで言ってろ」

感想 http://d.hatena.ne.jp/chocolatmama/20080225

2008-02-18怪奇譚 蜂巣敦

怪奇譚 (ちくま文庫)

怪奇譚 (ちくま文庫)

猟奇こそが、私たちの生にまつわる、得体の知れない恐怖を裏づけるものである。ぼんやりした不安の具現化、といってもよい。

感想 http://d.hatena.ne.jp/chocolatmama/20080218