Hatena::Groupbookseller

littré このページをアンテナに追加

2008-08-28

3ヶ月くらいのあいだに印象に残ったものをメモメモ。

[mystery]ドロシイ・B・ヒューズ「孤独な場所で」

クールな名著!ポケミス名画座バンザイ!ニコラス・レイの映画とは設定とかキャラがちょっと違うらしく、全く別の印象だった。女性の描写がよくて、服装なんかを想像するのも楽しい。西海岸の享楽的ながら乾いたイメージと主人公の心理状態が強烈に絡み合う。映画も再見したいなあ。

[literature]ジュンパ・ラヒリ「停電の夜に」「その名にちなんで」

遅ればせながら2冊を続けて読む。淡々とした語り口で、短編の仕上げ方もあざやかなら、長編の語りもうまくて、一気に読んでしまう。作家自身はイギリスとアメリカで育ってインドは知らないそうだけれど、こういう「移り住む」ことが芯にある作家というのはやはり興味深い。違う国や社会のなかで親の世代と子供の世代がどう生きていくか、というところがとてもあざやかに、特に生活のささいな細部や食物で表現されているのがすごくよいと思った。単純に食事の描写がうまい小説が大好きなので、そこかしこに出てくるインドのスナック(マスタードオイルって何だろう)やらカレーやらサムサなどの食事の描写にうっとりとしてしまうのだった。あとは、インドのでてこない作品を書くとまた違った感じになる作家なのだろうか、というところが興味津々。

[essai]いしいしんじごはん日記」1と2

いしいしんじは何となく苦手で読み切れない作家なのだけど、食事のでてくる本が大好きなので当然この日記は楽しく一気読みしてしまうのだった。最初に2をパリに行く飛行機の中で読み、後から1を夏休みの浜辺で砂まみれになりながら(本もじゃりじゃり)読んだ。

[mystery]戸川昌子「火の接吻

光文社の復刊のやつで。貸してもらう。フレンチミステリみたいな方向性なのでしょうか。文章が自分にとってはとても読みづらく、いろいろな伏線があるので最後は単純にそういうことでいいのか?とにわかには信じられないような感じがした。そう意味でもジャプリゾ?でも、「ライオンカットのプードル」とか「ファイア・マン」とかその他いろいろ自分にとってツボな表現が満載だったので楽しく読んだ。

[comic]「デトロイト・メタル・シティ

たぶん2巻目は読まない。松山ケンイチはうまくはまるだろうなあと思った。

2008-05-06

[essai]四方田犬彦「ハイスクール1968」

四方田さんの熱心な読者ではないので、個人的な部分に関する文章を読むのは初めて(「先生と私」くらい?)なので、教育大附属駒場高校出身というのもはじめて知った。勝手に複雑な生い立ちの方なのかと思っていた。

読み終えてごく素朴かつ凡庸な疑問は、親のこと。高校生なんてレコード一枚買うのも、詩集一冊買うのも、外に出るのも、親の金を使っていて親との葛藤無しにはすまされないような気がする。もちろん選択的に書いていないことなのだろうし、最後の”二人”の対談の部分でも”父親がこの時期に家を出たことと二人のガールフレンドのこと”を書いていないことにも触れているのだけど。親の家で親の養育のもとにあって、精神的にせよランボーの詩句を行動指針として引用されても違和感があるので少し知りたかった。人によって出来事のとらえ方は違うのだろうし、事後に書かれたものには多かれ少なかれ虚構の要素が入ってくるのだと思うのだけれど、自分が体験することのできなかった興味ある時代(ある意味で特権的な時代)について書かれたものを読むのは面白い。90年代という殺伐とした時代に、すべては死んだとか言われてて、現代詩や実験映画や小説やフリージャズなどを未消化に追いかけていた高校時代を送った自分にとっては憧憬にも似た気持ちを抱かずにはいられない部分がある、と思う。それがいかに愚かで凡庸な感想であったとしてもね。

rakuten:book:12860507

2008-05-04

[essai]いましろたかし「グチ文学 気に病む」

釣りの話とグチが半々くらいか。体のことなど大変なのだな。「あんずちゃん」がドカンと当たって、アニメや劇場映画とかになってればよかったのにね...

おまけマンガもとてもよくて、やっぱりいましろたかし好きだなーと思ったけど、そんな読者はいらん!と言われそうだな。

グチ文学 気に病む

グチ文学 気に病む

2008-05-03不忍ブックストリート 一箱古本市

一箱古本市に店主として参加しました。

感想などこちらに覚え書き。

http://d.hatena.ne.jp/photogramme/20080503

2008-04-26

[mystery]牧薩次「完全恋愛」

網中いづるさんの表紙がとてもいいなあ。さらに、驚愕のラストということで楽しみに読む。タイトルにも絡む筋立てやトリックは「おおっ」と思うのだけれど、文章がもう少し色っぽいとさらに引き立つのでは?などと思った。いくつかの特徴ある時代を背景にして、その推移とコントラストも小説の要の部分のように思うのだけど、その描写がCGでつくった昭和の映像みたいに情緒がない感じなのが残念...あと登場人物の感情もちょっと平板な気がして、「完全恋愛」と銘打つくらいなのだからなあ、とか。連城三紀彦くらいの文章で読めたら滅法面白いだろなーなどと勝手に思って読んだ。