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littré このページをアンテナに追加

2008-05-06

[essai]四方田犬彦「ハイスクール1968」

四方田さんの熱心な読者ではないので、個人的な部分に関する文章を読むのは初めて(「先生と私」くらい?)なので、教育大附属駒場高校出身というのもはじめて知った。勝手に複雑な生い立ちの方なのかと思っていた。

読み終えてごく素朴かつ凡庸な疑問は、親のこと。高校生なんてレコード一枚買うのも、詩集一冊買うのも、外に出るのも、親の金を使っていて親との葛藤無しにはすまされないような気がする。もちろん選択的に書いていないことなのだろうし、最後の”二人”の対談の部分でも”父親がこの時期に家を出たことと二人のガールフレンドのこと”を書いていないことにも触れているのだけど。親の家で親の養育のもとにあって、精神的にせよランボーの詩句を行動指針として引用されても違和感があるので少し知りたかった。人によって出来事のとらえ方は違うのだろうし、事後に書かれたものには多かれ少なかれ虚構の要素が入ってくるのだと思うのだけれど、自分が体験することのできなかった興味ある時代(ある意味で特権的な時代)について書かれたものを読むのは面白い。90年代という殺伐とした時代に、すべては死んだとか言われてて、現代詩や実験映画や小説やフリージャズなどを未消化に追いかけていた高校時代を送った自分にとっては憧憬にも似た気持ちを抱かずにはいられない部分がある、と思う。それがいかに愚かで凡庸な感想であったとしてもね。

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